Trattoria Il Delfino

キエフの原子力安全の専門家は、直接攻撃はありえないが、軍事侵攻によってミサイルや大砲が偶然に命中する危険性があると述べた。

チェルノブイリはウクライナのどこにあるのか、なぜロシア軍は核侵入禁止区域に入ったのかチェルノブイリはウクライナのどこにあるのか、なぜロシア軍は核侵入禁止区域に入ったのか2022.2.24

2011年の福島原発事故後、ウクライナの原子力当局は、原子炉の安全性を高め、火災や洪水などの事故から守るために特別な安全対策を実施しました。

しかし、グメニュク氏は、原発が攻撃された場合、最悪のシナリオでは、壊滅的な結果になると警告した。

「発電所が完全に破壊された場合、その結果は福島とチェルノブイリを合わせたよりもはるかにひどいものになると思う」とグメニューク氏は述べた。「もし、この戦争状態の結果について話すなら、ヨーロッパは完全に汚染されるでしょう」。

メルトダウンした場合、放射能は大気中を汚染し、気象条件によっては、チェルノブイリ事故の後、スウェーデンやイギリスまで放射能が拡散したように、ヨーロッパ全土に広がる可能性がある。

6つの発電ユニットで400～420億kWhの電力を生み出し、ザポリジャー原子力発電所をウクライナだけでなくヨーロッパでも最大の原子力発電所にしている、ウクライナ南東部ザポリジャー州エネルホダール、2019年7月9日。ウクリンフォルム (Photo credit should read Dmytro Smolyenko / Barcroft Media via Getty Images)
ザポリジャー原子力発電所はウクライナ最大の原子力発電所（Photo credit should read Dmytro Smolyenko / Barcroft Media via Getty Images）。

震災直後から、イギリス北部には放射能の雨が降り始めた。カンブリアでは、検出器が通常の200倍ものバックグラウンド放射線を示した。その2カ月後、スコットランドでは4千倍になっていた。北ウェールズ、カンブリア、スコットランドの羊からセシウム137が検出され、7千軒の農家で食肉販売が一時的に制限された。

ザポリージャの原発事故は、水を汚染し、ドナイパー川に入り、アゾフ海、黒海、そして地中海に流れ出る。

「しかし、これは全基が破壊された場合の話だ」とグメニュクさん。「私たちは、このような事態を防ぐために最善を尽くしています。このような事態を防ぐために、私たちは最善を尽くしています。私たちの原子炉は、例えば航空機の衝突など、さまざまな衝撃から守るための格納容器を持っているのです」。
チェルノブイリの核廃棄物

ベラルーシとの国境から南に70マイル離れたチェルノブイリの立ち入り禁止区域を含むウクライナの核廃棄物貯蔵施設も、放射能のリスクをはらんでいる。

国営原子力事業者エネルゴアトムは昨年、チェルノブイリの立ち入り禁止区域にあるウクライナの新しい中央使用済燃料貯蔵施設がほぼ完成し、稼働を開始すると発表した。使用済み燃料は、現在発電所で保管されている場所から新しい施設に移送される。
PRYPIAT, UKRAINE - FEBRUARY 4, 2022 - ウクライナ内務省の部隊が都市防衛中の相互運用性、都市戦闘戦術、敵対行為の余波への対応を練習する戦術訓練で迫撃砲を撃つ兵士、ウクライナ北部、キエフ州チョルノブイリ排除地区プリピャート市。(Photo credit should read Volodymyr Tarasov/ Ukrinform/Future Publishing via Getty Images)
今月、ウクライナ・プリピャチのチェルノブイリ立ち入り禁止区域で訓練を行うウクライナ軍（出典：Volodymyr Tarasov/ Ukrinform/Future Publishing via Getty Images）

現在、ロシアはベラルーシに約3万人の軍隊を駐留させているが、これは合同軍事演習のためと思われ、短距離ミサイル、ロケットランチャー、Su-35戦闘機で武装している。ボリス・ジョンソンなどの指導者は、ロシアがベラルーシから攻撃を計画していることを示唆している。「北から下りてきて、ベラルーシから下りてきて、キエフ自体を包囲する」のだ。そのルートは、ロシア軍が立ち入り禁止区域を通過する可能性がある。

CEOBSによると、「（チェルノブイリ）サイトの廃炉と廃棄物の梱包は進行中であり、数十年間は続くだろう。チェルノブイリ原発は常に管理・監視されており、紛争による混乱は、原発のリスクを軽減するために行われている作業に影響を与えるだろう。外国企業が侵略された場合、スタッフを撤退させ、サイトの活動に影響を与える可能性が高いと思われる。"

貯蔵所には2万2千個の使用済み核燃料があり、それらを保護するための特別なキャスクに保管されている。

しかし、グメニューク氏は「このキャスクが破壊された場合、放射性物質が放出され、ウクライナや他の欧州地域に移動する可能性がある」と、軍事的な火力から守られていないことを指摘した。これは非常に危険な状況だ」。

専門家の中には、核施設の崩壊は局地的なものだと言う人もいるが、グメニュク氏はこう言った。「燃料集合体の数は非常に多く、もしすべてのキャスクが破壊されれば、それはウクライナだけの問題ではなく、おそらくヨーロッパ全体ではなく、多くの国の問題になるだろう。"私はそうは思わない。
フィルムスチル0
2019年のHBOのテレビシリーズでは、チェルノブイリの原発事故が描かれた（Caption: Liam Daniel Provider: Bridgeman Images）

また、サイバー攻撃も考えられる。先週、ウクライナ政府のウェブサイトや銀行が、ロシアのハッカーが行ったと思われる分散型サービス拒否攻撃の波によって停止させられた。

2015年には、同国のエネルギー部門がBlackEnergyというコンピューターウイルスに攻撃され、103の町で80万世帯の停電が発生した。

翌年のチェルノブイリ原発事故30周年に、ウクライナのポロシェンコ大統領（当時）はこう語っている。"BlackEnergy社のウイルスが我々の配電所への攻撃に使われたのなら、そのような技術が我々の原子力発電所を脅かさないという保証はない "と。

"チェルノブイリはすでに不安定な状態にある "とロスリッキー女史は述べている。「チェルノブイリに対するサイバー攻撃には注意が必要だ。動力学的な攻撃であれ、サイバーによる攻撃であれ、それが起これば、世界の安全保障を脅かすことになる
事故、テロ、サボタージュ

ザポリジャーや南ウクライナの発電所への直接攻撃も、ロシアが発電所からそれほど離れていないこと、放射能汚染がウクライナだけでなくロシアにも影響することなどから、考えにくい。

しかし、事故やテロ、サボタージュの可能性はやや高い。2020年の核セキュリティ指標によれば、ウクライナは核物質防護に関する世界規範と国際公約の実施に関して高いスコアを上げており、それぞれ100点満点中94点と78点である。

しかし、政治的安定性、効果的なガバナンス、汚職の蔓延、非国家主体による不法行為などを考慮した「リスク環境」では、ウクライナは14点であった。
2022年2月22日、キエフでの会談後、エストニア側と共同記者会見に臨むウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領。(Photo by Handout / UKRAINE PRESIDENCY / AFP） / RESTRICTED TO EDITORIAL USE - MANDATORY CREDIT "AFP PHOTO / Ukraine presidency / handout " - NO MARKETING - NO ADVERTISING CAMPAIGNS - DISTRIBUTED AS A Service to Clients (Photo by HANDOUT/UKRAINE PRESIDENCY/AFP via Getty Images)
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに支援された分離主義者が国際当局の核施設視察を妨害するリスクについて警告した（写真AFP）／。

EU不拡散コンソーシアムによる2016年の報告書は、DPR、LPR、モルドバの未承認トランスニストリアにおける放射性物質の不正取引に注意を喚起した。"ウクライナ東部における武力紛争とそれに関連する脅威は、同国の核セキュリティ状況に劇的な影響を与えている "と述べている。

"政治的・社会的な不安定さは、犯罪集団やテロ組織の、規制管理外の放射性物質の流通に関連した違法ビジネスの動機を増幅させる。"

こうした武装反乱の危険性は、2014年にマレーシア航空17便が親ロシア派の分離主義者によってウクライナ東部のドネツク上空で撃墜され、乗員298人全員が死亡した際に最も劇的に浮き彫りにされた。オランダが主導したこの事件の調査は、同機がロシア連邦第53対空ミサイル旅団から提供されたブークミサイルで撃墜されたと結論づけた。犯人はウクライナ軍機を撃墜したと思い込んでいた可能性がある。
放射能の時限爆弾

また、「ウクライナ戦争の結果、放射能の時限爆弾が時を刻んでいる」ことへの懸念も高まっているとロスリッチさんは言う。

占領下のドネツクにあるイエナキエーブ近くのユーニーコミナー（ユンコム）鉱山からの放射能が、徐々に環境を汚染している。1979年、ソ連はここで地下深くの核実験を行った。その爆発で壁がガラスに溶け、放射能のガラス固化カプセル「クリバジ」施設が誕生した。

鉱山の操業が停止すると、坑道や部屋に入った水が重金属で汚染され、土壌や水路に入り込む可能性があるため、洪水を防ぐために継続的に水を汲み上げる必要があります。

ロシアに占領される前、ウクライナ政府は洪水を防ぐために、この地域の鉱山から水を汲み上げるのに何百万も費やしていました。しかし2018年、いわゆるドネツク人民共和国（DPR）はポンプ作業を停止し、インフラは金属くずとして売り払われた。

2022年2月4日、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所近くの廃墟都市プリピャチで、ウクライナ国家警備隊、軍隊、特殊作戦部隊が実施し、都市集落での危機状況をシミュレーションする戦術演習中の装甲人員運搬車が目撃された。REUTERS/Gleb Garanich
今月、チェルノブイリ原発近くで行われたウクライナによる戦術演習中の装甲兵員輸送車（Reuters/Gleb Garanich）

ウクライナ国家戦略研究所の2019年の報告書によると、浸水した鉱山による汚染は分離主義地域の30万人以上にとって「緊急の脅威」であり、4人に1人はすでに飲料水源を失っているという。

ユンコン鉱山で。ウクライナの人権NGO「トゥルース・ハウンズ」の2021年の報告書によると、「ガラスカプセルが破壊され、危険性の高い放射性元素が表流水に漏れ出す危険性がある」という。"揚水停止からわずか2ヶ月で、鉱山の坑内の水位が157メートル上昇した"

2020年以降、カプセルは浸水したとされる。国際人権協会によると、現場から約5km離れた帯水層の放射性核種濃度は、20～34*103ベクレル/kgであった。

"これは、低レベルの放射能汚染水がすでに飲料水レベルに入り込んでいることを意味する "と、同団体は述べている。

「この放射能と化学物質のカクテルは、ダーティーボムのように、ウクライナの国境をはるかに越えた地域の生態系、人間の健康、生命に影響を与える大規模な環境脅威をもたらす」とロスリッキー女史は述べている。

「脅威は、環境、土地、水、動物、人間の汚染である。これは国際的な環境災害の懸案事項であり、コントロールする必要があります。
ロシアに支援された分離主義者からの否定

しかし、DPRは鉱山に関連する放射線量の変化やリスクを否定している。ウクライナや国際原子力機関（IAEA）などのオブザーバーによる調査のためのアクセス要請はすべて拒否されているため、データはほとんどない。

同様に、占領下のクリミアなどにある他の核施設に対する査察の要請も拒否されている。

昨年4月、ゼレンスキー大統領はこう警告した。「このような情報の欠如は、国境を越えた問題であり、その結果もまた国境を越えるだろう」。

ベラルーシ、ブレスト地方 - 2022年2月3日：ベラルーシ空軍のMi-8ヘリコプターは、ブレストスキー射撃場でロシアとベラルーシの連邦国家の対応力をテストする演習に参加している。複合武器、空挺部隊、砲兵部隊、空軍部隊が実戦射撃を完了した。Gavriil Grigorov/TASS (Photo by Gavriil GrigorovTASS via Getty Images)
ベラルーシ空軍はウクライナ国境からほど近い場所で、ロシアとの合同演習に参加している（Gavriil Grigorov via Getty Images）

ドネツク州検察庁が行った調査によると、朝鮮民主主義人民共和国は「これらの行為が、地下水や地表水の放射能汚染や化学物質汚染、ひいてはアゾフ海の汚染という生態系災害を引き起こす可能性があると理解している」ことがわかった。

ロスリッキーさんが指摘するように、ロシアは国際当局との関与を拒否することで、ドネツクとルハンスクにおける「ロシアの占領当局を正当化するためにこの立場を利用している」のである。ウクライナが直接DNRに関与しなければならないと主張することで、ウクライナと国際社会にDNRを正式に承認することを強要しようとしているのです。

ウクライナの国連大使であるセルギィ・キシリツァは、ドネツクとルハンスクの環境影響評価を実施するよう国連に要請している。

このような場所が適切に整備されなければ、やがてウクライナに迫る軍事的脅威の上に、核と環境の脅威を加えることになるかもしれないのだ。